兼子 直
 てんかん・熱性けいれん遺伝子解析グループ・代表
 弘前大学大学院医学研究科神経精神医学講座・教授


 てんかんは人口の約
0.6%、熱性けいれんに至っては人口の約8%が罹患する最も頻度の高い神経疾患です。しかし、現在の抗てんかん薬(AED)治療は対症療法にしか過ぎず、服薬中止に至る症例は極めて少いのが現状であります。また、AEDにより発作が抑制されるのはてんかん患者全体の85%に過ぎず少なくとも本邦では10万人を超える患者がてんかん発作に悩んでおり、これらの症例の多くは社会生活が困難です。そこで“てんかんおよび熱性けいれん遺伝子解析研究グループ”では、てんかんにおける新規責任遺伝子及び感受性遺伝子の探索や見出された遺伝子変異を導入したモデル動物を用いて、個体レベルでの分子病態の解明、AEDの作用機序解析、薬物代謝酵素及びトランスポーターの多型を解析し、適切な薬剤選択と投与量の決定が可能となる個別化治療の開発やてんかんの発症そのものを防止する新たな治療法(根治治療)の開発を行うことを目的としています。てんかんの個別化治療やてんかんの根治治療の開発は、これまでのtry and errorを減少させ、より迅速で適切な治療の提供につながります。